「南海トラフ、うちは大丈夫かな」と思いながら、何もできていませんか?

「南海トラフ地震がいつ来てもおかしくない」――そんなニュースを聞くたびに、胸がズキっとして、子どもの顔を見る。でも次の瞬間、洗濯物を干さなきゃ、夕飯の準備をしなきゃ、とバタバタした日常に引き戻されて、「備え」はいつも後回しになってしまう。
そういうパパ・ママ、本当に多いと思います。私自身も、上の子が生まれたばかりの頃、「南海トラフが来たらどうしよう」と夜中に考えては不安になり、でも翌朝になったら授乳やオムツ替えで頭がいっぱいで……そのまま何ヶ月も過ぎてしまった経験があります。
でも、今年2026年は違います。1946年に発生した昭和南海地震からちょうど80年の節目の年。政府や専門家が口を揃えて「今が備えのラストチャンスかもしれない」と言っている年です。だからこそ、今日この記事を読んでくださっているあなたに、具体的で実践的な備えをお伝えしたいと思います。
「いつかやろう」が「もう間に合わなかった」になる前に、一緒に動きましょう。
南海トラフ地震の「本当の怖さ」は規模ではなく同時性にある
南海トラフ地震について、多くの方が「大きな地震が来る」という認識は持っています。でも、その本当の怖さは「規模の大きさ」だけではありません。
最大の問題は、広域かつ同時多発的に甚大な被害が起こるという点です。
通常の地震なら、被害を受けた地域に全国から救援物資や支援が集まります。ところが南海トラフ巨大地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての太平洋沿岸に震度7クラスの揺れが襲い、同時に10メートルを超える大津波が押し寄せます。東海、近畿、中国、四国、九州の広い地域が一度に被災するため、自衛隊も警察も消防も、物資も人手も全国で分散されてしまうのです。
つまり、「助けが来るまで自分で乗り越えなければならない時間」が、通常の地震よりはるかに長くなる可能性があります。
子育て中の家庭にとって、これは何を意味するでしょうか。ミルクが切れた、おむつがなくなった、子どもの薬がない――そういう「命に関わる困りごと」を、自分たちだけで解決しなければならない時間が、何日も、場合によっては1週間以上続くかもしれないということです。
「助けてもらえる」という前提を捨てることが、南海トラフへの備えの第一歩です。
なぜ備えが進まないのか?3つの本当の原因
「備えなければ」と分かっているのに動けない。その裏には、よくある3つの壁があります。
原因① 情報が多すぎて「何から始めればいいか」が分からない

インターネットで「防災 備え」と検索すると、膨大な情報が出てきます。
非常食、防災バッグ、備蓄水、家具固定、避難訓練、ハザードマップ……やるべきことがありすぎて、かえって「もういいや」と思考が止まってしまう。これは意思の弱さではなく、情報過多による「決断疲れ」と呼ばれる心理状態です。子育て中でただでさえ決断の多い毎日を送っているパパ・ママには、特に起こりやすい状態です。
原因② 「うちは大丈夫」という正常性バイアス
人間には、自分にとって都合の悪い情報を過小評価する「正常性バイアス」という心理的な働きがあります。「確率80%」と言われても、「でも実際に自分の生きている間に来るかどうか……」と感じてしまう。これは人間の脳の防衛反応として自然なことですが、防災においては命取りになります。過去の大きな災害でも、「まさか自分がこんな目に遭うとは」という声は必ず聞かれます。
原因③ 子連れならではの備えを「誰も教えてくれない」
一般的な防災情報は、成人を対象にしたものが多く、「子どもがいる家庭」に特化した情報は意外と少ない。乳幼児のいる家庭と、小学生のいる家庭では、必要な備えが大きく異なります。月齢によっても変わります。「防災バッグに何を入れるべきか」の答えが、子どもの年齢によって全然違う――そのことを体系的に教えてもらえる機会が少ないのです。
南海トラフに備える!子育て家庭の実践的な解決策
では、具体的にどうすればいいのか。難しく考えずに、5つの柱に絞って取り組みましょう。
① 1週間分の水と食料を「子どもの年齢別」に準備する

南海トラフ地震の場合、支援が届くまでに最低でも7日間は自力で生活できる備蓄が必要です。通常の防災では「3日分」が推奨されますが、南海トラフ規模の広域災害では7日分を目安にしてください。
水の目安:1人1日3リットル × 家族全員の人数 × 7日分
赤ちゃんがいる家庭では、粉ミルクを溶かすための清潔な水も必要です。また、ほ乳瓶の洗浄・消毒ができない環境を想定して、使い捨てのほ乳瓶やほ乳瓶用スポンジ、消毒タブレットも備えておきましょう。
食料については、子どもが食べ慣れているものを中心にストックすることが大切です。災害時の子どもは、精神的なストレスから「いつもと違う食べ物」を強く拒否することがあります。普段から食べているレトルトのお粥、うどん、フルーツの缶詰、子どもが好きなお菓子なども「非常食」として備えておくのが現実的です。
私の家では、毎月「防災費」として3,000円を別予算で確保して、消費期限を見ながら少しずつ備蓄を更新しています。「ローリングストック」という方法で、買い足しながら古いものを日常で使うサイクルを作ると、期限切れの無駄が出ません。
② 家の中の「凶器」を取り除く
地震の怖さは揺れだけではありません。実は、大きな地震による死者の約3割が「家具などの転倒・落下」によるものとされています(消防庁データより)。子どもが過ごすリビングや寝室に、背の高い本棚、冷蔵庫、テレビ台がある場合、これが子どもに直撃するリスクを考えてください。
家具転倒防止の対策は、専門業者に頼まなくても自分でできるものがたくさんあります。
- 背の高い家具には「L字金具」で壁に固定する(ホームセンターで1,000〜2,000円程度)
- 冷蔵庫・洗濯機には専用の転倒防止グッズを使う
- テレビには転倒防止ベルトを設置する
- 食器棚の扉には「開き防止ロック」を取り付ける
子どもが主に過ごす部屋から優先的に対応するだけでも、リスクは大きく下がります。
③ 「子ども専用の防災バッグ」を作る
防災バッグは「1つ」ではなく、子ども用を別途用意することをおすすめします。
小学校低学年以上の子どもなら、自分のランドセルや小さいリュックに「子ども用防災バッグ」を持たせることができます。中身は軽量に保ちながら、以下のものを入れておきましょう。
- 水(500ml×1本)
- 子どもが好きなスナック(長期保存できるもの)
- 笛(ホイッスル)
- 緊急連絡先カード(子どもが読める字で)
- 雨具(コンパクトなポンチョ型)
- 常用薬・お薬手帳のコピー
乳幼児の場合は、親の防災バッグに子ども関連グッズをまとめたポーチを入れておく形で対応できます。おむつ、おしりふき、着替え、母子手帳のコピー、保険証のコピーは必須です。
「子どもが自分のバッグを持つ」という体験が、防災意識を育てる第一歩にもなります。
④ ハザードマップで「うちの本当のリスク」を確認する
南海トラフ地震では津波の被害が特に深刻です。自分の家が津波の浸水想定区域内にあるかどうか、今すぐ確認しましょう。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」では、全国の津波浸水想定、洪水浸水想定、土砂災害警戒区域などを地図上で確認できます。
津波の浸水想定区域に入っている場合、地震発生後の避難行動は分単位で考えなければなりません。子どもを連れていると移動速度が落ちます。避難先までのルートを、子どもを抱いた状態で実際に歩いてみることをおすすめします。所要時間を把握しておくだけで、いざというときの判断が変わります。
⑤ 「家族防災会議」を定期的に開く

最後に、最も大切でありながら最も後回しにされがちなのが「家族でのコミュニケーション」です。
防災グッズを揃えても、避難ルートを確認しても、家族全員がそれを知らなければ意味がありません。特に、夫婦で「地震が起きた瞬間、それぞれがどこにいて、どう動くか」をシミュレーションしておくことが重要です。
- 保育園・小学校の引き渡しのルールを事前に確認しているか
- パパが会社にいるとき、ママと子どもだけでどこに避難するか
- 近所の親戚・知人と「助け合いの約束」をしているか
- 子どもが小学校高学年以上なら、「子ども自身が一人で行動する場合の約束」を決めているか
我が家では、毎年3月と9月(防災の日)の2回、家族防災会議を開くことをルール化しています。5分でも話し合うだけで、家族全員の防災意識がぐっと高まります。
今日からできる3つのアクション
「分かった、でも何から手をつけよう……」と思ったあなたに、今日この瞬間からできるアクションを3つだけお伝えします。
アクション① キッチンの水の残量を確認する
今すぐ冷蔵庫やキッチンのペットボトルを確認してください。1人あたり1日3リットルとして、家族全員分の7日分に足りているでしょうか?足りなければ、次のスーパーに行くときにまとめて購入することをメモしてください。
アクション② ハザードマップを5分だけ確認する
上記の重ねるハザードマップにアクセスして、自宅の住所を入力してみてください。津波や洪水のリスクエリアに含まれているかを確認するだけで大丈夫です。5分でできます。

アクション③ パートナーに今日の記事をシェアする
防災は一人でできるものではありません。今日この記事を読んで感じたことを、夜にパートナーと共有してみてください。「南海トラフのこと、少し心配になってきた。一緒に考えたい」と話しかけるだけで、家族の防災会議の第一歩になります。
まとめ:「80年に一度」の節目に、家族を守る決断を
2026年は、昭和南海地震から80年。「次の南海トラフ地震が来る前に、もう一度しっかり備えよう」と専門家が声を上げている年です。
南海トラフ地震への備えは、特別なことでも難しいことでもありません。水と食料の備蓄、家具の固定、避難ルートの確認、家族との話し合い――こうした日常のちょっとした積み重ねが、いざという時に家族の命を守ります。
子どもを持つ親として、私たちにできる最大の愛情表現は「準備すること」だと思っています。完璧でなくていい。今日から少しずつ始めることが、何よりも大切です。
「備えたから大丈夫」という安心感が、子どもの笑顔を守る一番の土台になります。
防災に関するさらに詳しい情報や、季節ごとの注意点、子どもの年齢別の備えチェックリストなどは、ブログの他の記事でも紹介しています。ぜひ他の記事もチェックして、家族の防災力を一緒に高めていきましょう。
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参考情報
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