子育て家庭の水備蓄:正しい量と保管法

防災情報
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子どもが生まれてから、防災への意識がぐっと高まったというパパ・ママは多いですよね。私もそのひとりです。非常食は揃えた、懐中電灯も買った、防災リュックも用意した——でも、なぜか「水」だけはいつも後回しにしていました。

「ペットボトルが2〜3本あるし、まあいいか」そんな楽観的な気持ちがありました。

でも、ある日の地域での訓練でベテランの防災士さんにこう言われたのです。「被災後に一番足りなくなるのは食料ではありません。水です。そして、赤ちゃんのいるご家庭が一番困るのも水です」。

その言葉が頭から離れなくなりました。実際に東日本大震災の経験者ママへのアンケートでも、「備えておけばよかった防災グッズ」の第1位は保存水だったというデータがあります。食料よりも、懐中電灯よりも、水。なのに、多くの家庭で水備蓄は不十分なまま——これが、子育て家庭における防災の「盲点」です。

「水の備えは後回しでいい」という油断が、いちばんの落とし穴なのです。

防災対策を「何かを買う」ことだと思っている方は多いです。でも、水備蓄の本質はもっとシンプルです。「ライフラインが止まった状態で、自分の家族が何日間生きられるか」を具体的に計算することです。

大地震や洪水などの大規模災害では、水道が復旧するまでに数日〜2週間以上かかることがあります。阪神・淡路大震災では平均約7週間、東日本大震災では一部地域で2〜3か月かかった地域もありました。

そのとき、コンビニは閉まっています。スーパーの棚はすぐに空になります。給水車が来るとしても、並んでいる間に赤ちゃんはのどが渇いています。幼い子どもを抱えて、重い水をもらいに長蛇の列に並ぶ——そのシーンを想像したとき、「備えておいてよかった」と思えるか、それとも「なぜ準備しなかったのか」と悔やむか。

赤ちゃんが泣いているのに、飲ませる水がない——そんな状況だけは絶対に避けたい。

だからこそ、「水の備蓄」は防災対策の中でも最優先事項のひとつとして考えてほしいのです。

子育て家庭が水不足に陥りやすい3つの理由

① 子どもの水分需要は大人より多い

幼い子どもの体は水分量の割合が大人より高く、また代謝も活発です。乳幼児が1日に必要とする水分量は体重1kgあたり約100〜150ml。体重10kgの1歳児なら1日に1〜1.5リットルの水分が必要です。これに対して、多くの備蓄量の目安は「大人1人1日3リットル」で計算されており、子どもの特性が反映されていないことが多いのです。

また赤ちゃんのミルクには、一般のミネラルウォーターに含まれるカルシウムやマグネシウムが多すぎると腎臓に負担をかける可能性があります。そのため、粉ミルクを溶かすには軟水か純水(ピュアウォーター)を使う必要があり、「水ならなんでもいい」とはならないのです。

② 家族分を計算すると量が想像以上に多い

たとえば、パパ・ママ・2歳の子ども・0歳の赤ちゃんの4人家族を想定してみましょう。

  • 大人2人×3L×7日分 = 42L
  • 幼児1人×1.5L×7日分 = 10.5L
  • 赤ちゃん(ミルク用)×1L×7日分 = 7L

合計でざっと60リットル近くが必要になります。2リットルのペットボトルで30本。重さにして約60kg。「ちょっとペットボトルを買い置きすればいい」という感覚とは全然違いますよね。

私自身も、最初にこの計算をしたときは「こんなに必要なの!?」と驚きました。

③ 備蓄水の賞味期限を管理していない

市販のペットボトル水には賞味期限(多くは製造から2年)があります。「とりあえず買い置きしている」という家庭でも、気づかぬうちに期限切れになっていたり、ストックの場所を忘れてしまったりすることがあります。非常時に開けたら古い水しかなかった、というのでは備えの意味がありません。備蓄水は「用意するだけ」ではなく、「管理を続ける」ことが大切です。

赤ちゃん用の水でミルクを作る様子

まず目標量を決める:最低3日分、理想は7日分

政府の防災指針では「最低3日分」を推奨していますが、大規模災害では7日〜2週間以上の断水が起こりえます。まずは3日分を揃えることをゴールに、余裕ができたら7日分へと増やしていきましょう。

計算式:(大人の人数×3L + 子どもの人数×1.5L)× 日数

赤ちゃんがいる家庭は「用途別」に準備する

赤ちゃんのいるご家庭は、水を以下のように分けて備蓄することをおすすめします。

  • ミルク用:軟水または純水(硬度60mg/L以下が目安)
  • 飲料用:ミネラルウォーター(大人・子ども)
  • 調理・衛生用:水道水をタンクに溜めておく(清潔なポリタンクが便利)

市販の「赤ちゃん用のお水」や「調製粉乳対応」と表記されたウォーターサーバーの水も便利です。ただし、ウォーターサーバーは停電すると使えなくなるため、ペットボトルの備蓄と組み合わせることをおすすめします。

保管場所はリスク分散が基本

水は重くてかさばるため、一箇所にまとめて置きたくなりますが、それは危険です。地震で一部屋が崩壊したり物が倒れてきたりした場合、一気にすべてのストックが使えなくなってしまいます。

推奨する保管場所の分散例

  • キッチン収納の下段:普段使い兼備蓄(ローリングストック)
  • 押し入れ・クローゼット:長期保存水のストック
  • 玄関・廊下の壁際:すぐに持ち出せる分(防災リュック付近)
  • 車のトランク:外出先での被災に備えて数本

私の家では、キッチン収納に20本、納戸に20本、防災リュックに2本を常時置くようにしています。

ローリングストックで管理を楽にする

水の管理でいちばん続きやすいのが「ローリングストック」の考え方です。日常的に飲んでいる水を少し多めに買い置きし、古いものから順番に使い、使ったら補充する——というサイクルです。これにより、賞味期限切れの水を抱えるリスクがなくなり、管理も楽になります。

おすすめの管理方法として、ペットボトルに油性ペンで「使用開始日」を書いておくだけでも格段に管理しやすくなります。

アクション1:今すぐ家の水を数える

まずは今日、家にある飲料水(ペットボトル)を全部集めて数えてください。そして上の計算式で必要量を出してみましょう。「ある」と思っていた水が、実は2〜3日分しかなかった、ということは珍しくありません。

アクション2:次のスーパーで「+6本」買い足す

一度に全量揃えようとすると重くて大変です。まずは週に1回の買い物で2Lボトルを6本(1ケース)ずつ増やす習慣を始めてみましょう。3〜4週間でかなりの量が揃います。

買い直すのが面倒な方は長期保存水もあります。
普通の水よりは値段が高いですが、何度も買い直す手間を省けます。

アクション3:赤ちゃんがいる家庭は「純水」を別に用意する

ミルク用の純水は、普通のミネラルウォーターとは別に準備が必要です。「赤ちゃんの水」「純水」「軟水」と表示された商品を選び、最低でも1週間分(7L程度)を確保しましょう。

アクション4:ポリタンクで水道水も備蓄する

飲料以外に、生活用水(手洗い・トイレ流し・体拭きなど)も必要です。20L〜30Lのポリタンクを1〜2個購入し、水道水を溜めておく方法が経済的です。水道水は未開封のまま涼しい場所に保管すれば、3〜5日間は安全に使えます。

アクション5:家族の水カレンダーをつくる

備蓄水の賞味期限をカレンダーやスマホのリマインダーに登録しましょう。「○月○日:リビング備蓄水の期限確認」などの予定を年4回程度入れておくだけで、「気づいたら期限切れ」を防げます。

家族を守る水

防災対策の中で「水の備蓄」は地味に見えるかもしれません。でも、災害後の被災者ママたちが口をそろえて言うのは「水をもっと備えておけばよかった」という後悔です。

赤ちゃんのミルクを作る水、子どもの手を洗う水、家族の体を拭く水——日常では当たり前にあるものが、災害時には一瞬でなくなります。そのとき「備えていてよかった」と思えるかどうかは、今日の行動にかかっています。

まずは今日、家の水を数えることから始めてみてください。それだけでも、あなたの家族を守る大きな一歩になります。

防災の準備に「完璧」はありません。でも「何もしない」よりも「少しでも動く」が、いざというときの安心につながります。

梅雨が本格的に始まる前の今こそ、水の備えを見直す絶好のタイミングです。ぜひ、ご家族で話し合ってみてくださいね。

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