「避難所には行きたくない」は、ワガママじゃない

「大きな地震が来たら、とりあえず避難所に逃げる」——そう漠然と考えているパパ・ママは多いと思います。私もそのひとりでした。でも、子どもが生まれてから防災について真剣に調べはじめたとき、あることに気づきました。
「避難所が、必ずしも子連れ家族にとって安全な場所ではない」——そのことを、もっと早く知りたかったと思っています。
避難所は、体育館のような広い空間に多くの人が集まります。感染症のリスク、乳幼児の夜泣きで他の避難者に気を遣う精神的疲弊、授乳スペースの不足、アレルギー対応食が手に入らない……これらは決して「ぜいたくな悩み」ではなく、実際に被災した子育て世帯が経験してきたリアルな問題です。
だからこそ、今注目されているのが「在宅避難」という選択肢です。自宅が安全であれば、無理に避難所へ行かず、自宅で災害を乗り越える——これが在宅避難の考え方です。
2026年秋には「防災庁」が発足し、日本の防災体制が大きく変わろうとしています。この機会に、「避難所に行く前提の備え」から「自宅で乗り切れる備え」へと、家族の防災をアップデートしてみませんか。
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問題の本質:「避難所に行けばどうにかなる」という思い込みが危険
多くの人が「最終的に困ったら避難所がある」と考えていますが、実はこの考え方に落とし穴があります。
まず、避難所に入れる保証はどこにもありません。大規模災害では、収容人数を大きく超える人が押し寄せることがあります。能登半島地震(2024年)でも、多くの避難所が満杯になり、車中泊を余儀なくされた方が大勢いました。
次に、避難所の生活は想像以上に過酷です。特に乳幼児を連れた家族にとっては、集団生活のストレスで子どもの体調を崩しやすく、夜泣きへの周囲の目線が精神的に追い詰めることもあります。授乳中のお母さんにとって、プライバシーが守られない環境は深刻な問題です。
そして、「在宅避難は備えがあれば十分可能」という事実を、多くの家庭がまだ知りません。自宅の建物が無事で、ライフラインが止まっても最低限の生活ができる備蓄があれば、在宅避難は十分に現実的な選択です。
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在宅避難を難しくしている原因3つ
原因①:「何を、どれだけ備蓄すればいいか」がわからない
備蓄といえばカンパンや水というイメージがありますが、家族の人数・年齢・アレルギーによって必要なものは大きく異なります。特に子どもがいる家庭では、月齢に合わせたミルクや離乳食、おむつ、子ども向けの解熱剤など、大人の備蓄リストには載っていないものがたくさんあります。
「なんとなくカップラーメンを何個か買ってある」という状態では、いざというときに全然足りないと気づいてしまいます。
原因②:ローリングストックが続かない
備蓄は「買って終わり」ではなく、定期的に使って補充する「ローリングストック」が基本です。でも、忙しい子育て世代にとって、「備蓄品の管理」は後回しになりがちです。賞味期限が切れていたり、子どもが成長してサイズが合わなくなったおむつが大量に残っていたりと、定期的な見直しができていないご家庭は多いはず。
原因③:「在宅避難できるかどうか」の判断基準を知らない
在宅避難はどんな状況でもできるわけではありません。自宅が倒壊・浸水のリスクがある場合や、構造的に大きなダメージを受けている場合は、むしろ避難所に行くべきです。「在宅か、避難所か」の判断をどうするか——ここを知らずに在宅避難を目指すと、かえって危険な状況に陥ることがあります。
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解決方法:在宅避難を成功させる「子育て家庭の備蓄術」

まず確認:在宅避難できる家かどうかを判断する
在宅避難の前提は「自宅が安全であること」です。以下をチェックしてください。
- 地震・水害ハザードマップを確認:お住まいの市区町村のウェブサイトで「ハザードマップ」を調べてください(国土交通省 ハザードマップポータルも便利です)
- 建物の耐震性を確認:1981年以降の新耐震基準を満たしているか確認。古い建物の場合は、耐震診断を検討してください
- 浸水・土砂崩れのリスクを確認:川や急傾斜地の近くに住んでいる場合は、在宅避難よりも早期避難が優先です
これらをクリアして「自宅は比較的安全」と判断できたら、以下の備蓄計画を進めましょう。
備蓄の目標:最低3日分、できれば1週間分
政府(内閣府)は、家庭での備蓄として「最低3日分、できれば7日分」を推奨しています(首相官邸 災害に備えた準備)。電気・水道・ガスが全部止まった状態でも7日間生活できる備蓄があれば、かなりの安心感があります。
私自身は子どもが生まれてから、最低5日分を目標に備蓄を始め、今では7日分をキープするようにしています。最初は「多すぎる」と感じましたが、実際に短時間の停電を経験してから「これでもまだ少ないかも」と感じるようになりました。
子育て家庭の備蓄チェックリスト
● 飲料水(最重要)
- 目安:1人1日3リットル × 家族全員 × 日数
- 2リットルのペットボトルで管理すると計算しやすい
- 赤ちゃんのいるご家庭は、ミルク用に「軟水」を多めに備蓄
- ウォーターサーバーは水の備蓄としてとても有効(断水時も数十リットルのストックになる)
● 食料(家族の状況に合わせて)
大人・子ども共通:
- アルファ米(お湯や水を注ぐだけで食べられる)
- カップ麺・インスタント麺
- 缶詰(さんま、サバ、焼き鳥、コーン、トマトなど)
- レトルトカレー・パスタソース
- クラッカー・ビスケット
- チョコレート・飴(カロリー確保と子どものストレス軽減に)
- フリーズドライの味噌汁・スープ
赤ちゃん・乳幼児のいるご家庭は追加で:
- 液体ミルク(常温保存・哺乳瓶不要で便利)
- 粉ミルク(+水のストックを必ず合わせて)
- 月齢に合った離乳食・ベビーフード(月齢別に!)
- 子ども用飲料(お茶・麦茶のペットボトル)
- アレルギー対応食品(お子さんのアレルギーに合わせて)
「アレルギーがある子は、避難所の食料が食べられないことがある」——これは多くのママが見落としがちな落とし穴です。

● 生活用品
- トイレ(簡易トイレ or 携帯トイレ:家族の人数×7日分)
- おむつ(普段の使用量×2週間分が目安)
- おしりふき(多めに備蓄しておくと洗えないときに役立つ)
- 生理用品
- ウェットティッシュ・除菌シート
- 手指消毒液
- ゴミ袋(大中小、各サイズたっぷり)
- ラップフィルム(食器に巻いて洗い物を減らす)
● 衛生・医療用品
- 子ども用の解熱剤(普段から処方薬を一定量確保しておく)
- 体温計(電池式が安心)
- 絆創膏・消毒薬・包帯などの救急セット
- 常備薬(持病がある方は1週間以上の備蓄を)
- 赤ちゃん用保湿クリーム(乾燥・あせも対策)
● 防寒・光源・電源
- 懐中電灯(家族全員分)
- ランタン(テーブルに置けるタイプが便利)
- 電池(乾電池を多めに)
- カセットコンロ+ガスボンベ(最低10本)
- モバイルバッテリー(大容量のもの、スマホ3〜5回分)
- ポータブル電源(あると非常に便利。赤ちゃんがいるご家庭は特におすすめ)
- 防寒ブランケット・アルミシート
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今日からできる具体アクション5つ
アクション①:ハザードマップを今日確認する(5分)
お住まいの市区町村の公式サイトか、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で自宅の地震・水害リスクを確認しましょう。「在宅避難できる家かどうか」の判断はここから始まります。
アクション②:まず3日分の水から買う(今週中)
備蓄に圧倒されると何もできなくなります。最初は「水だけ」でOK。2リットルのペットボトルを家族の人数×9本(3日分)買うことから始めましょう。置き場所は押し入れ・床下収納・ベッド下など、普段使わないスペースを活用します。
アクション③:カセットコンロを準備する
電気・ガスが止まっても、カセットコンロがあれば温かいものが食べられます。子どもにとって「温かいご飯」は安心感に直結します。コンロ本体+ガスボンベ10本セットで始めてください。
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ケース付きで保管・持ち運びに便利です。
アクション④:スマホのメモに「在宅避難か避難所か」の判断メモを作る
- 揺れが収まった後、まず自宅の壁・柱・基礎にひびがないか確認
- ガスの臭いがする場合は窓を開け、ガスを止め、火を使わない
- 浸水・土砂崩れのリスクがある場合はすぐに避難
- 上記がなければ、在宅避難を第一選択に
この4つをメモしておくだけで、いざというときの判断が格段に速くなります。
アクション⑤:赤ちゃん・子どものものを月1で見直す
子どもは成長するので、3ヶ月前のおむつサイズや離乳食のステージが変わっていることがあります。毎月1日を「備蓄チェックデー」に設定して、子どものものを中心に見直す習慣をつけましょう。
「防災の日(9月1日)に一度見直せばOK」ではなく、子育て中は「毎月見直す」が正解です。
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まとめ:「逃げない選択」を準備することが、家族を守る

在宅避難は「備えがあれば選べる選択肢」です。避難所に頼るしかない状況から、「自宅でも7日間乗り越えられる」という安心感のある状況へ——これが、子育て中の家庭にとって最も現実的な防災アップデートだと私は思っています。
2026年秋の防災庁発足で、日本の防災体制はさらに強化されます。でも、家族を守る第一歩は、いつも「自分の家から」です。まずは今日、ハザードマップを開いてみてください。それだけで、あなたの家族の防災力は一歩前進します。
子どもたちが安心して暮らせる未来のために、少しずつ、一緒に備えていきましょう。
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